今回はサカダンのライターである小林さんが実際に活動しているトレセンU14の活動報告をコラムとして連載して行くことになりました。
これは小林さん承認のもと掲載しています。
トレセンに興味のある方は是非読んで欲しい内容となっています。
ご挨拶
いつもお世話になっております。
今年度より◯◯県トレセン U-14 のチーフコーチをさせて頂く事になりました小林です。
至らない点もあるとは思いますが、選手達のために一生懸命トレセンの活動に取り組んで参ります。
先日、2023年度最初の◯◯県トレセンが開催されました。
下記より活動報告をして参ります。
◯◯県トレセン U-14 活動報告
日時 | 4月23日(日) |
会場 | 新見防災サッカー場 |
テーマを『守備』と設定し TR を行いました。
今回は U-13 の時からやり続けている『ボールを奪う』ところの原理原則、優先順位がある中で、どれだけ選手達がそれを理解してプレーできるのか
- 1対1
- 2対2
- 3対3
- 紅白戦
の順に段階を踏んで TR を進めて行きました。
U-14 にもなれば◯◯県を代表する選手として最低限出来るようになっておかなければならない事があると思っています。
1対1について
1対1の状況では、
- 素早く寄せてボールを奪う
- 一発で抜かれないように相手の出方を見て、上手くステップを使って対応しボールを奪う
- 粘り強く付いて行ってボール奪う
- 最後まで諦めずスライディングでボールをはじき出す
という順序があれば1~3は当たり前にやれる事。
2対2について
2対2では攻撃側の選手が増えると当然1人でボールを奪うことは難しく なります。
2人目のDF のコーチングが不可欠になります。
2人目のコーチングで1人目のDF を上手く使いボールホルダーのプレーに制限をかけます。
制限がかかり相手が不利 になった瞬間を見逃さず2人で協力してボールを奪う。
ボールを奪えなくとも 2人がコミュニケーションを取り協力して守備をする事。
この一連の行動をチャレンジ&カバーといいます。
3対3について
3対3では見るものが増えていきます。
- ボール
- 人
- スペース
を同時に視野に入れながら状況判断しながらプレイしないといけません。
守るエリアも広がる 事でボールに関わっていない選手の役割が重要になります。
- 背後のスペースを埋めた方が良いのか?
- 見るべき相手との距離を詰めた方が良いのか?
- カバーリ ングを意識して味方の方に近づくのが良いのか?
ボールや人が移動している時 にその時の状況に合わせて、自分の立ち位置を変えたり、アプローチに行った り、的確な判断とそれを行動に移す決断がより難しくなってきます。
自分がボ ールから離れた位置にいてもコーチングやポジショニングでプレーに関わる事。
これらの事をピッチ上で選手一人一人が認識し、その時その時の場面で置かれている状況で何をするべきか理解しないといけません。
サッカーにおいて自分で判断してプレーする事や、仲間と協力してプレーする事はできないと思います。
現時点で◯◯県トレセンの選手たちがこれらの事が出来る集団になっていれば、
◯◯県トレセンからナショナルトレセンや次期 U-15 日本代表候補に割り込める選手が現れると思っています。
トレーニングの活動を振り返る
今回参加した選手たちは、守備において自分で判断してプレーしたり、自分か ら積極的にコミュニケーションを取って守備をしようとする選手が少なく、『2対2』や『3対3』では意図的にボールを奪う事が中々出来ませんでした。
しかし『1対1』ではアプローチの速さだったり、抜かれても粘り強く付いて 行ってボールを奪おうとする選手は多くいました。
そこはU-13の時に所属チー ムやトレセンの活動の中でしっかり鍛えられていると感じました。
とは言っても、最終的には試合の中で『ボールを奪う』『相手を自由にさせない』 『ゴールを奪われない』事ができるのか紅白戦で再確認しました。
【紅白戦】クラブ選抜VS中体連選抜
参加人数とその割合が丁度良く、選手達に刺激を与える意味でもクラブ選抜 VS 中体連選抜で紅白戦をする事にしました。
このようなシチュエーションもトレセンだから出来る事で、選手達もテンショ ン高くゲームに入る事ができました。
我々スタッフも真剣に選手たちをチェックする中で感じた事はクラブ選抜の選手達の方が出来る事が多いと言う事です。
今回のテーマは『守備』と言う事なので、守備に関してお伝えすると、クラブ選抜の選手達は、
- 1stDF が素早くボールホルダーにアプローチした時の 2ndDF のポジショニングが良かったり、
- ボールホルダーとの距離が少し遠い1stDFに対して、寄せきれてない時に2ndDFのアクション(コーチングや2ndアプローチの準備)ができていたこと。
- 攻撃側のボールホルダーに近い選手達はコミュニケーションを取り合って守備をしようと積極的にチャレンジしていると感じました。
しかし、 相手のミスでたまたまボールが奪えていたり、相手の判断ミスでたまたま守備側が有利になって守れていたシーンが多く、狙い通りにボールが奪えている回数は少なかったと感じています。
そしてやはりボールから離れた位置にいる選手の大半はプレーに関わる考えが持てていないと感じました。
レベルの高い選手達と対戦した時にどれだけ意図的にボールが奪えるのか?
そこ のところはトレセンの活動や所属チームの活動の中でもっともっと詰めていく 必要があると思いますが、そう言った課題が見つかりました。
それでも良かった点もありました。
ボールホルダーの近くにいる選手同士がコミュニケーションを取り合ってボールを奪おうとチャレンジしている回数が多かったのは良かった。
一方で中体連の選手達はコミュニケーションを取りながらプレーする事が出来ないという印象があります。
県トレへの参加もまだ 2 回目という選手が多く慣れない環境で中々力を発揮する事が出来ない中で、一人一人は一生懸命プレー していてTRした事をチャレンジする姿勢は良かったと思うが、まだまだ闇雲にプレーしている。
- 1stDF が良いアプローチから粘り強く対応していても 2ndDF が何もアクションを起こさないからボールが奪えない。
- 1stDF が一発で交わされ ても 2ndDF が躊躇して対応できずズルズル下がって相手に前進させてしまう。
その状況その状況に応じてユニットでボールを奪うという考えがまだ持ててい ない印象でした。
そんな中体連選抜の中でも 1 年間県トレセンに残り続けている選手もいました。(名前は伏せておきます。)
3名の選手は身体的にクラブ選抜の選手にも負けない能力が備わっているので、フィジカルコンタクトの強さや粘り強さがあり、時には 最後まで諦めずスライディングで止めようと必死にプレーしていました。
そのような姿を見ると県トレの中で揉まれながら成長していると感じました。
第一回目の総括
今年度最初の◯◯県トレセンはプログレスリーグに加盟しているチームや晴れの国リーグで常に上位争いをしているチームの選手達がチーム事情により不参加でした。
今回は参加者が少なく、県トレの活動にも不慣れな選手が数名いた中で思うようにTRが進まない事もありました。
それでも参加した選手達はいつもと違う雰囲気の中でも、TR の中で伝えた事を意識して自分なりにトライしながら精一杯プレーしてくれました。
しかし◯◯県トレセンは◯◯県を代表する選手達の集まる場所です。
U-14 にもなれば、ただ頑張るだけではなくその場その場の状況で、選手達一人 一人がそれぞれの状況を理解した上でプレーをし、その中で自分の力を発揮し てほしいと思います。
今回参加した選手達の多くはこれからも強豪の選手たちと共に◯◯県トレセンで活動していきます。
クラブの選手達は日頃から彼等のような選手達と対戦する機会も多く日々鍛えられていると思い ます。
特にプログレスリーグに加盟している2チームの選手達は、J下部のクラ ブと対戦する事もあり、常にハイレベルな環境でサッカーをするのが日常にな っています。
中体連の選手達はそのような機会が少ないので、
月に 1 度の◯◯県トレセンの活動の中で、彼等と凌ぎを削り、切磋琢磨してお互いを高め合っ てもらいたいと思うと同時に、
我々スタッフも◯◯県トレセンをより価値のあ る活動として各チーム関係者の方に認めて頂けるように選手達と一緒に少しでも成長できるように取り組んで行きたいと思います。
この度はチームの活動があるにも関わらず◯◯県トレセンの活動に選手を派遣して頂きありがとうございました。
スタッフ一同厚くお礼申し上げます。 これからも岡山県トレセンの活動に御協力の程よろしくお願いいたします。